ギター材質の特徴1
Contents
エレキギター用
主なボディ木材
バスウッド
出典:府中家具工業協同組合様「木材図鑑」
非常に軽く、柔らかい材。安価の為、低価格帯のギターに使われることが多いです。
【アルダー】の代用材として使われることも多い材木です。
また、サウンドはフラットで特徴がないなどと書かれることが多く
あまり良いイメージを持たれない材なのですが、サウンドに癖がないという事は
ギターの設計やピックアップの特性を素直に反映させることが出来る木材なので
高級なカスタムギターやミュージシャンモデルにも使用されており、決して悪い素材ではありません。
低価格帯のギターはそもそもの設計や使われる部品が中~高価格帯のそれとは違う為
音が悪いのは当たり前です。低価格帯に使われる事の多い【バスウッド】も一緒に
酷評を受ける事が多いのですが、木材が入手しやすい為に安価なのであって
【バスウッド】自体が悪い木材とは言いきれないのです。
アルダー
出典:府中家具工業協同組合様「木材図鑑」
広葉樹にしては柔らかく、ギター素材としては軽い部類の材。
中音域にピークがあり、バランスの取れたサウンドで
「枯れた音」「抜けの良い音」と言われています。
Fenderのストラトやテレキャスなどにも多く使用されています。
アッシュ(ホワイトアッシュ)
出典:府中家具工業協同組合様「木材図鑑」
辺材が白く「ホワイトアッシュ」と呼ばれ、心材は褐色系で「ブラウンアッシュ」と呼ばれる。
材質は硬く、重い。価格は比較的安価です。
低音域と高音域にピークがあり、重ければ重いほど低音域が響くと言われています。
「ライトアッシュ」はその名の通り「軽いアッシュ」で成長スピードが早かった為に
繊維密度が低くなり重量が軽くなった「アッシュ」の事です。「スワンプアッシュ」とも呼ばれる。
温かい地域で育ったアッシュがライトアッシュになりやすい。
「ライトアッシュ」は重量が軽い分、「ホワイトアッシュ」と比べて低音域が弱くなる
傾向がありますが、音抜けは良い材です。
メイプル(ハードメイプル)
出典:府中家具工業協同組合様「木材図鑑」
メイプルシロップでも有名な木材で非常に重く、硬い材。
その重さからボディ全体がメイプル材というギターは少ないです。
ギターのトップ(表)に薄くメイプル材を貼られることが多いです。
クリアでアタックが強く輪郭がはっきりしたサウンドになります。
また、その強度からネック素材とされることも多く、ストラトなどにも
使用されています。
【ソフトメイプル】とされるものはハードメイプルより約25%くらい柔らかいとされます。
強度が劣る分、ネック材には不向きで主にボディトップに使用されます。
ハードメイプルに比べてアタック感や低音域は劣りますが、鳴り自体は良いとされています。
メイプルには杢(もく)が出る事があり、杢により【キルティッドメイプル(玉杢)】
【フレイムメイプル(縮杢)】【タイガーメイプル(トラ杢・縮杢)】などと呼ばれ
高値の付く材木です。中でもハードメイプルにしか現れず、数万本~数十万本に1本くらいしか
現れない【バーズアイ(鳥眼杢)】は非常に高価な材木です。
木目⇒年輪
杢目⇒模様
簡単に言うとそんな感じじゃよ。
マホガニー
出典:府中家具工業協同組合様「木材図鑑」
重量は軽いがそこそこの強度を持つ高級な材。
ホンジュラス共和国原産の【ホンジュラス・マホガニー】はあまりにも有名。
ボディ材としてはもちろん、強度もあるのでネック材としても使用されます。
中音域にピークがあり、音が丸くアタック感を出し辛い特徴を持つ。
その為、クリアでアタック感の出しやすいメイプルと非常に相性が良い。
アタック感を出す為にピックアップはシングルコイルではなく、ハムバッキングが
搭載されることが多い。
Gibsonのレスポールなどバック材にマホガニー、トップ材にメイプルといった
メイプルトップ+マホガニーバックといったラミネートが多いのはその為です。
マホガニーは数の減少からワシントン条約で伐採を禁止されており、マホガニーに似た材が使われる事が
あります。それは【フィリピン・マホガニー】という材木です。しかしながら、マホガニーはセンダン科
ですが、フィリピンマホガニーはフタバガキ科となり、全くの別物です。
コリーナ
出典:府中家具工業協同組合様「木材図鑑」
重量や強度ともにマホガニーに近い材。
リンバとも言われ、辺心材の差が無く黄白色をしていますが
時に心材が茶褐色になるものがあり、「ブラックリンバ」と呼ばれます。
音質もマホガニーに似ているのですが、ややトレブリーで独特の粘りがあります。
個人的にコリーナと言えば、GibsonのフライングVを思い浮かべてしまうのです。
主なネック木材
ギターのネックは弦張により大変な圧力がかかる為、柔らかい材では
ネックが曲がったり、折れたりするので使えません。
特殊な素材を使ったネックもありますが、木製のネックは主に以下の2つの
どちらかを採用しています。
マホガニー
ボディ材の所でも説明しましたが、中音域が豊かで愛好家が多い材。
Gibson社が多くのモデルに採用しています。
衝撃に対する耐久性はメイプルには及ばず、ギターを倒したりして
ネックに負担がかかった際は、意外に簡単にヒビ割れたり、折れます。
メイプル
非常に硬い材なので、とにかく丈夫。簡単には折れません。
音質はクリアでサステインに優れています。
Fender社を始め、多くのメーカーの多くのモデルで採用されています。
主な指板木材
ローズウッド
出典:府中家具工業協同組合様「木材図鑑」
多くのギターメーカーが採用している指板(フィンガーボード)材。
辺材は淡く白っぽい色をしていますが、心材は赤紫褐色です。
新鮮なものはバラの香りがする事から、その名が付きました。
ひとえにローズウッドといっても多種多様であり、最高級品は絶滅危惧種に指定された
【ブラジリアンローズウッド】で【ハカランダ】や【ジャカランダ】とも言われます。
その他、高級とされる【ホンジュラスローズウッド】や【マダガスカルローズウッド】も
全て1992年のワシントン条約により国外への輸出が禁止されています。
以前は、最高級ギターに使用されていたブラジリアンローズウッドも今や最高級ギターであっても
使用されることは、ほぼ無いと言って良いのではないでしょうか。
一般的に使用されているのは【インディアンローズウッド】という種類になります。
ちなみにローズウッドの音質はウォームでアタックがマイルドになる特性があります。
エボニ―
出典:府中家具工業協同組合様「木材図鑑」
フィンガーボードの最高位とされるエボニ―指板。黒檀。
使用されるのは真っ黒で密度が高く、重く硬い。
しかしながら、心材の多くは画像の様に縞黒檀と呼ばれる縞杢がある材。
稀に採取される真っ黒な本黒檀が指板材として使われていたが
こちらもワシントン条約による規制で入手が難しくなっている。
その為に縞黒檀や色を黒く染めた素材が流通しています。
音質は立ち上がりが早く、メリハリのあるサウンドです。
メイプル
ボディ・ネックそして指板にも登場の材。
もう、お分かりでしょうが、硬く重い。
ネックも指板もメイプルを使用出来るという事は
1本のメイプルでネックと指板の両方を作る事が可能です。
そうしたネックを【1ピースネック】と言います。
ネック部と指板部を別々のメイプルで作って貼り合せたネックは
【貼りメイプル】と呼ばれます。
ロースウッドより音の立ち上がりが早く、クリアなサウンドです。
また、メイプル指板は塗装されているので手入れが楽というメリットもあります。
パーフェロー
出典:府中家具工業協同組合様「木材図鑑」
密度も高く、重い材。
エボニ―の代用材として使用されることが多い。
エボニ―に比べ、油分を多く含んでいるので
ローズウッドに近い音質になります。
辺材は黄色がかった灰白色ですが、心材が茶褐色となります。